Intel/AMDのQ1 22決算とロジック半導体市況動向

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おせわになっております。前回の更新から日が空いてしまいました。。

今回はロジック半導体大手Intel(ティッカー $INTC)およびAMD(ティッカー $AMD)の2022年Q1決算とロジック半導体の市況動向について解説いたします。

ロジック半導体の市場規模

IntelとAMDはCPUなどに代表されるロジック半導体の大手メーカーです。メイン市場はPCとサーバー、一部ゲームコンソールや特殊用途も含まれます。一方、スマートフォンのSoCなどにおけるシェアはありません。

経済産業省によりますと、ロジック半導体の市場規模は半導体の全品種のうち半分近くを占めており、また、PCとデータセンターは半導体市場のざっと4割を占めています(下記画像引用 経済産業省『半導体戦略 2021年6月)。

IntelとAMDの事業部について

続いて、IntelとAMDのそれぞれの事業部についてか簡単に解説します。決算資料の数字を見る上で、例えばPC向けCPUやサーバー向けプロセッサがどの事業部にどこ向けの売上に含まれているか知るために必要です。

Intelの事業部

Intelの事業部の区分は以下です(参考 Intelが2つの事業部門を新設、コンピューティングの加速やソフトウェアビジョンの推進を目指す)。

・CCG(Client Computing Group): 一般向けPCのCPU
・旧DPG(Data Platform Group): データセンター向けプロセッサ、今期より以下に分割
→DCAI(Data Center and AI): Xeonサーバープロセッサなど
→NEX(Network Edge Group): エッジサーバーなど
・AXG(Accelerated Computing Systems and Graphics Group)
→Arc A(XeアーキテクチャのモバイルGPU)など
・Foundry: 半導体受託製造
・Mobileye: 車載
AMDの事業部
AMDの事業部の区分は以下です。(参考『AMDゲーミングおよびグラフィックス・プロセッサー・テクノロジーがPS4 Proに採用されています』)

・Computing and Graphics: 一般向けPCのCPU/GPU
・Enterprise, Embedded and SemiCustom: サーバー向けとゲーム(Play Station, Xbox)
・Xilinx: 買収したFPGAメーカー、Intelが過去に買収したALTERA(旧PSG)に相当

IntelおよびAMDのQ1 22の決算とロジック半導体市況

IntelおよびAMD両社の決算数字とそこから読み取れるロジック半導体市況について解説いたします。

Intel Q1 22の決算

Intelの2022年Q1(1月ー3月期)の決算結果です(non-GAAP)。

売上 $18.4B YoY -1%
粗利率 53.1% YoY -5.7ppt
営業利益率 23.1% YoY -12ppt
EPS $0.87 YoY -35%
*データいずれもIntel Financial Infoより
売上の推移を事業部別ごとに色分けして示すと下記のようになります。Intelは売上としては最大級の半導体メーカーですが過去三年間、大きな売上成長はありません。なお2021年Q1からSK hynixに売却したNSGというNANDフラッシュビジネス分が約$1B程度売上から差し引かれています。

AMD Q1 22の決算

AMDの2022年Q1(1月ー3月期)の決算結果です(non-GAAP)。

売上 $5.89B YoY +71% *Xilinx売上を含む、含まない場合 / YoY +55%
粗利率 53% YoY +7ppt / *51% +5ppt
営業利益率 31% YoY +9ppt / *30% +8ppt
EPS $1.13 YoY +117%
*データいずれもAMD Financial Infoより
同じように売上を事業部別に色分けして示すと下記のようになります。Intelと異なり、きれいな右肩上がりです。なお今期から買収したXilinxというFPGAメーカーの売上分が約$560M程度乗っています。

IntelとAMDの売上成長率の比較

IntelとAMDの売上成長率をグラフで比較すると下記のようになります。なお、Q2 22および2022年通算の成長率は両者の最新の売上ガイダンスに基づきます。

WSTSによると2021年の世界半導体出荷額成長率は前年比 +26%、うちロジック半導体は+30%でした。さらに2022年の出荷額成長率見込みは+10%でロジック半導体は+17%を見込んでいます(参考WSTS has published the Q4 2021 market figures and recalculated the Fall 2021 Forecast)。

一方でIntelの2022年通年の売上成長ガイダンスは+2%、AMDは+60%です(Xilinxを含まない場合30%台中盤程度の模様、1月のガイダンス+31%から上昇)

(Lisa Su / AMD CEO) On the organic side of the AMD business, we originally guided up 31% based on what we saw in the market in January. As we look at the market now and our own sort of customer and supply situation, we see that organic growth higher, into the mid-30s. That’s primarily driven by very strong demand in our Server business, very strong demand in our Console or Semi-Custom business, additional supply coming online. We have taken a bit more of a conservative perspective on the PC market.
引用 – AMD Earnings Call Q1 22

上記の成長率をベンチマークとすると、AMDが圧倒的な成長を見せている一方で、Intelの成長は頭打ちになっているように見

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Anago

Anago

欧州在住の半導体企業に勤務されている方です。半導体市況&決算情報をツィッターやブログでシェアされています。

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