Micron FQ4 22 決算発表

米国株分析ブルベア

お世話になります。米国のメモリ半導体大手Micron Technology($MU/マイクロン)がFQ4(6月ー8月なのでCQ3相当)の決算発表を行いましたので、そのまとめと簡単な解説記事となります。

Micron FQ4 22の決算

Micron社の決算発表資料によりますと、FQ4の決算結果は以下のようになりました。*non-GAAP

売上 $6.6B (QoQ -23% / YoY -20%)
粗利率 40% (QoQ -7ppt / YoY -8ppt)
営業利益率 25% (QoQ -11ppt / YoY -12ppt)
Diluted EPS $1.45 (QoQ -44% / YoY -40%)
Micron FQ1 23のガイダンス

Micronによりますと来期のガイダンスは下記のようになっております。変化率はいずれもMid Point基準です。

売上 $4.25B ± $250M (QoQ -34% / YoY -43%)
粗利率 26% ± 2% (QoQ -14ppt / YoY -21ppt)
Diluted EPS $0.04 ± $0.1 (QoQ -97% / YoY -98%)
Micronの四半期の業績の推移

Micron社の決算発表資料を参考に筆者が作成した2016年CQ4からの四半期の売上・粗利率の推移です。

Micronが扱うDRAM・NANDといった汎用メモリ半導体は業績のアップダウンが非常に激しいことで知られています。

前回は2018年のCQ3をピークに、CQ4から下落トレンドが始まり2020年末頃から好業績のサイクルが始まりました。しかし、ご覧の通り今回の決算結果と来期のガイダンスは明らかな下落サイクルの始まりを示していると思われます。

また、個人的に注目したのが今回のCQ3相当の売上がQ2比で-23%となっている点です。これまでは下落、上昇問わずどんな局面でもQ3・Q4の売上はQ2を超えていました。これはQ3・Q4に年末商戦向けの新型スマートフォンや家電といったシクリカル製品の作り込みが重なるからです。

それが今年に限っては全く逆の動きをしているということは、これまで年の後半の半導体売上を牽引してきた需要が低迷しており、Q2までに顧客元で溜まってしまった在庫の消化が優先され結果的にQ3とQ4の売上がそれぞれQoQでマイナス成長に陥っていると考えられます。

Fiscal Q4 financial results were impacted by rapidly weakening consumer demand and significant customer inventory adjustments across all end markets
引用 – Micron FQ4 Earnings Presentation

ブルームバーグは、需要が想定ほど急増しなかったためアップルが新型iPhone増産の計画を見直すと報じた – 引用 ロイター『ホットストック:アップル関連が軟調、新型iPhone増産計画見直しと報道』

事業部(BU)別及び製品別の売上

MicronのBUおよび製品別の売上について見てみます。

全てのBUにて売上がマイナス成長

MicronのBUは以下の4つに区分されます。

Compute and Network: PCやサーバー向けメモリ
Mobile: スマホ向けメモリ
Storage: SSD
Embedded: 家電、産業機械、車載向けメモリ
下記はMicron社の決算資料からのスクリーンショット抜粋となりますが、全てのBUにおいてQoQ、YoYともにマイナス成長となっているのがわかります。

FY21/FY22それぞれの売上の構成を見て頂くとわかりますが、Micronの売上はCNBU 44%、MBU 23%となっておりこの2つの事業部の存在感が大きいです。

しかし、過去2年の四半期の各BUごとのYoY売上成長率を見てみると、直近1年はCNBUとMBUの二大事業部の成長減速が目立っていたことがわかります。

すでに様々な企業の決算で述べられてるように今年に入って始まった露によるウクライナ侵攻、中国で長引くロックダウン、世界中で巻き起こるインフレなどが消費者の行動に影響を与えているとのことです。

An unprecedented confluence of events has affected overall demand, including COVID-related lockdowns in China, the Ukraine war, the inflationary environment impacting consumer spending, and the macroeconomic environment influencing customers’ buying behavior in multiple segments
引用 – Micron “FQ4 Earnings Call Prepared Remarks”

DRAM・NANDともに価格は下落基調

MicronはDRAMとNANDという大きく分けて2つのメモリ半導体を主力製品としています。

メモリ基本講座 「半導体メモリとは何ぞや」
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FQ4の四半期業績ではDRAM売上がQoQ -23% / YoY -21%、NAND売上がQoQ -26% / YoY -14%といずれもマイナス成長となっております。

メモリ半導体は汎用品であるが故、市況に敏感で頻繁に価格の改定が行われます。市況が良い時は、作っても作っても足りず、出荷数量も価格も右肩上がりなのですが、反対に市況が悪くなると作った製品が全く売れないので少しでも多く出荷するために価格を下げ続けることになります。

Micronの決算資料に於いてその動向を確認できるのがDRAM・NANDそれぞれのBit ShipmentsとASPの動きです。Bit Shipmentsはメモリ半導体の出荷量、ASPは平均販売単価です。出荷量と平均販売単価が下がれば当然売上も下がりますし、マージンも著しく低下することが考えられます。

下記は同じく決算資料からの抜粋ですが、DRAM・NANDともに出荷量とASPが2桁%も下落しており業績が急速に悪化していることがわかります。<

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Anago

Anago

欧州在住の半導体企業に勤務されている方です。半導体市況&決算情報をツィッターやブログでシェアされています。

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