ネットワークセキュリティカメラのArlo technology $ARLO

ボロボロになった銘柄、Arlo

成長が見込まれる銘柄は優秀な方々が分析してくださっているので、探してもあまり情報が見つからないような地味ダメな銘柄についてちょっと調べてみようかなと思いました。今回は、IPOから株価が71%も下落したArlo international technology についてざっくりとした情報をシェアします。

 

ネットワークカメラの普及

日本と比較して治安の悪いアメリカでは防犯カメラをつける家が多いです。コロナの影響もあって防犯製品も売れているようです。
特に防犯カメラの世界市場は 2024 年までに 80% 成長すると予測され、需要は右肩上がりです。

セキュリティカメラ需要

自宅では Ringというアマゾン傘下のセキュリティカメラを利用しています。誰かがドアベルを鳴らしたらアプリで外出時でも応答できるため大変便利です。盗難があった時、近所の人たちとネットワークを通じてシェアすることもできます。

特にネットワークカメラは5GによるIoTでの活性化が期待されています。5Gの特徴である「低遅延」、「高速大容量」、「同時多接続」を実現するため、無線から有線通信、ネットワーク、データセンタなど様々な分野で 自宅だけではなく、街頭やお店などで防犯カメラが普及し、画像解析も高度化することになります。

ネットワークカメラの普及

アメリカ2018年のデータですが、未だにオフラインが半数以上を占めています。競争激化もあり、追いやられてしまったイメージもあるArloですが、TAMにおいては、まだ余裕がありそうですので、どこかで差別化を行っている限り、世界規模市場全体で成長しそうです。しかも、オンラインはサブスクリプションが一般的ですし、カメラ購入というハードルがあるので、TVストリーミングのように次の日他に乗り換えるということはあまり考えられません。

ネットワークに強いArloの成り立ち

Arlo はネットワーク防犯カメラの製造、スマートカメラのメーカーです。

このArlo Technologies(アーロ・テクノロジーズ)の本社はカリフォルニア州サンジョセにあります。2018年8月にニューヨーク証券取引所に株式を公開する前は、ルータなどのメーカーのNetgearのブランドとされていました。創立2018年と同時にIPOした企業です。今のマーケットキャップは約443M程度です。ちなみに自宅ではNetgearのルータを使っています。

Arloは2019年時点でスタンドアローンのネットワークカメラのトップでした。しかし、Nest、Ring、Wyze、Xiaomi、Hikvisionなどのブランドが急速にシェアを上げ、脅かされるようになったそうです。

家電屋でArloを見かけたとき、Ringにはかなわないと鼻にかけていたのですが、Arloカメラを手に取って購入しようとしていた人を見かけたので、聞いてみたところ、Arloの方が設置しやすいので欲しいと言っていました。

Arloに興味を持ち始めたのはそこからです。

ライバル多勢の中のArlo

今アメリカで主要なネットワーク防犯カメラは、GoogleのNest、AmazonのRing、Arlo、そしてBlinkです。IoT制覇のためには、ネットワークカメラは欠かすことができない分野でしょう。競争激化のため、入会したら1年割引などのキャンペーンが目立ちます。

 

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3年数年前のデータです。ネットワークカメラと言えば、かつてNetgearのネットワーク防犯カメラ、つまりArloでした。2018年ぐらいまでのシェアは大きかったようですが、今はRingに勢いがあります。

ring data
VOXによるデータ

今年に出たRingの売り上げグラフです。19年から倍増しているようです。市場を凌駕していることがわかります。

Arloの製品

製品についてみてみたいと思います。


右からベーシック、左がハイエンド製品となります。なんと4Kから1080Kまであります。Ringでもまだ4Kは出ていません。Arlo Ultra のfield of View 180°と幅広くカメラに収めることができます。

ナイトモード、スポットライトなどは、他のメーカーも一対応していますので、ひきたてすごいというわけではないと思います。

$349.99からとなります。コストコやアマゾンではPro2やEssentialのカメラ2つをつけた$350(3か月サブスク無料)のセット販売が行われているようです。Ringなども初回購入で割引を設けています。

ベーシックモデルのArlo pro 2 とRing Spotlight cam (持っています)の比較表があったので、チェックしてみましょう。

この比較表を見てもRingに劣らないと思います。特にモーションが音で反応するところと、クラウドストレッジ、USBストレッジ対応は嬉しい所です。

arlo_比較表

クラウド、ストレッジに強いArloというイメージがありますが、これれはそれを裏付けるようです。内臓ストレッジはArloしかないようです。内臓バッテリーもありますし、停電等にも強そうですね。

もともとネットワークの企業でしたから、100% オプンレミスによるインフラは強そうですね。

また、Arlo Essentialシリーズにワイヤフリーのセキュリティカメラ「Arlo Essential XL Spotlight」と「Arlo Essential」がありますが、このシリーズは、1回の充電で最長1年間使用可能な長寿命バッテリーとカラーナイトビジョン付きのスポットライトを内蔵しているそうです。1年間ともつというのは、つまり外のどこにでも設置できるということになります。

ソーラーパネルもオプションでついています。電源を必要としないのは嬉しいですね。

 


コストコでは、ハイモデルのArlo2がセットで販売されています。コストコのレビューには偏りが少ないのでよく参考にする人が多いです。4Kと設置のしやすさに評価があるようです。

次はドアベルをチェックしてみましょう。

Arloドアベルは価格 – 150ドル – 防水機能つきでRing ドアベル3プラスやGoogleのNest Helloよりもかなり手頃な価格です。

Nest 230 ドルですが、連続クラウド録画を提供しています。Ringのドアベルは230 ドル。これは人が画像に入ってくる前に4秒間の映像をキャプチャできます。

他社と比較するとドアベルの性能で安価ベーシック、セキュリティカメラは高機能でお値段もそこそこいう印象です。

サブスク

ベーシック
2K 画質 30日間録画保存
$2.99 /月(カメラ1台)$9.99/月(5台まで)

エリート
Up to 4K 画質、30日間録画保存
$4.99 / 月(カメラ1台) $14.99 / 月(5台まで)

※カメラ5台以上となれば6台目からは1台につき半額になる。

1台から月3ドルは、NestもRingも同じです。複数プランも同じ。Nestは持ち前の 4Kを使ったエリートプランで収益化&差別化を図っているようです。

提携ニュース

arlo株価

株価チャートとなります。左側が過去5年ので、右はここ3か月のものです。IPO時には、ライバルも少なく期待も高かったこともあり、今の価格の4倍ほどでした。ライバルの台頭からはじまり、赤字から抜け出すことができず、次第に低迷していきました。IPOから1年~2年後、なかなか成長できずに赤字だけが膨らみ売り上げが停滞する企業によく見られるパターンです。

そんな時こんなニュースが。

防犯カメラのArlo 、#アーロ・テクノロジーズ 、大手SECURITASとSmartCloud SaaSソリューション統合に向けた合意を発表。
22%上昇。SecuritasのネットワークにArloカメラをシームレスに追加可能となります。

大手SECURITAS USAとSmartCloud SaaSソリューション統合に向けた合意を発表しました。これは朗報でした。大手商用のセキュリティネットワークとの関係です。シェアも大きいです。その日に22%上昇。下落時から150%以上の上昇となっています。

大手警備会社のセキュリタス、Securitas ABは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くセキュリティサービス、監視、コンサルティング、調査グループです。グループには、世界53か国に30万人以上の従業員がいます。

決算

  • 8月の決算は、予想を上回りました。サービス収入が前年同期比53%増と過去最高値を更新しました。純損失は△0.41ドルから△0.32ドル、非GAAP基準の純損失は△0.33ドルから△0.24ドルと損失幅が狭まっています。
  • 有料アカウントは過去最高の43,000件となり、前期比72%増となりました。前年同期比59.4%増。
    第2四半期のサービス収入は1,700万ドル、前年同期比52.7%増。

ガイダンス

  • 売上$85.0~$95.0
  • 1株当たりのGAAPの純損失は(0.41ドルから0.32ドル)、非GAAP基準の純損失は(0.33ドルから(0.24ドル)です。

通年のガイダンスは見送っています。

earnings_arlo

これを見ても分かるように決して成長している企業ではありませんが、株価と同じで落ちるところまで落ちて、底から這いあがってくるかもという感じです。


仕方ありませんが、研究費や開発費、マーケティング費用も売り上げ落ち込みに合わせて、落ちています。アマゾンなどのライバルたちが豊富な資金をマーケティングなどに費やすことができると考えると、差が広まるようにも思えます。肝心な部分に費用を集中できるよう、収益回復が問われます。

売り上げ

売上成長率。こちらの表の方が分かりやすいですね。年間ベースでの売り上げ。予想は上回りましたが、前年比ではマイナスです。次回がんばって、2019年の不調を超えてもらいたいですね。

グロスマージン、オペレーティングマージン、ネットマージンです。

PSRが最近やっと上がってきました。

営業キャッシュフローは改善傾向にあります。$97M→$189M(6か月) の増加でした。

年間となりますが、これを見る限り少しづつ改善しているようです。

有料サブスク推移

新しいビジネスモデルが好調のこと。

90日間の無料トライアルを含む新しいビジネスモデルは、非常に強力なコンバージョン率を示し続けており、登録アカウント、有料アカウント、サービス収益の記録を再び更新したそうです。

ビジネスモデルへのシフトが加速しています。

ビジネスモデルへの移行

有料アカウントがQ2で急増しています。90日間無料キャンペーンを行っていたので、定着してきたということでしょうか。これはいい傾向と言えるでしょう。収益化に向けての大きな一歩かもしれません。

先ほども述べましたが、高精細ビデオ、双方向オーディオ、内蔵スポットライト、カラーナイトビジョン、6ヶ月のバッテリー寿命を特徴とする全く新しいArlo Essential Spotlight Cameraを発売しています。Essential Spotlight Cameraは、オプションのスマートハブを使用せずにWi-Fiネットワークに直接接続することができ、ユーザーに大きな柔軟性を提供し、Arlo Smartの3ヶ月間のサブスクリプションとのペアリングも可能とのことです。

クラウドARLO
これを見るとクラウドに強いということが分かります。常に録画しつづけるサービスなので、ライブストリーミングサービスと同様、強固なネットワークと膨大なストレッジ、そして高速な処理能力のインフラが必要となります。100% オプンレミスのようですが、投資費用、ランニングコストがかかりそです。この優れたクラウドによりセキュリタスとの提携が実現したのかもしれません。

アナリスト評価です

もっと多くの人からの評価が欲しいところですが、小型ですし、買いが75%なので悪くはないと思います。決算後にアップグレードが増えたようです。今は比較的割安のようなので、次の決算が良かったら、株価が上昇するかもしれませんが、時価総額が低いので、ボラティリティーは高そうです。

まとめ

簡単ですが、ざっくりとみてみました。感想としては、今後ともネットワークセキュリティカメラの需要が増えることは間違いないと思います。昔Ringでなどの大手のシェアに押され、昔から知っているユーザーから見たらおちぶれた印象もあるarloですが、商用でのセキュリタスとの提携、超長持ちするバッテリーArlo Essentialや4Kの登場、強いクラウド、有料サブスク増加が強みとなっています。赤字幅も縮小してきて、収益化に向かっているような気がします。商用として収益化が期待されそうですし、ポテンシャルは少なからずあると思います。

RingやNestとは同じ土俵では勝てないので、ネットワークやバッテリー、ストレッジなど他とは違った強みを全面的にアピールすると良いかもしれません。アマゾンやGoogleが入りにくいサードパーティとしての強みを生かして、セキュリタスのような商用提携への営業を強化するのも効果的な戦略でしょう。株価としては落ちることろまで落ちたので、2019年の落ち込みを次回決算で克服してほしいと思っています。

この銘柄を購入した時、IOTでネットワークカメラが欠かせない時代、どこかが買収してくれるかもと思ったことがきっかけでした。Google がfitbitを買収したように、どこかが…。AmazonとGoogleはIOTに向けて着々と動いていますが、AppleとFBはちょっと違う道にむかっているように思えます。そう遠くない日に、ネットワークカメラの存在が無視できなくなる、ネットワークカメラが鍵になる時代が来るかもしれません。

割安なGo pro と Arloをまとめてどこかが買収すると面白いのにな、なんてそんな風に考えたりもしています。

いまは変動の大きいリスクのある小型株ですので、もし投資するのなら次の決算を見守った方が良いかもしれません。ちなみに次回の決算は、大統領選の週、11月4日。(ボラが高い日になりそうです)

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ブタ丸

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このサイトの管理者です。ニュース、マーケ、政治経済大好き。3日坊主ですが、情報シェアできればと思います。

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