Alibaba($BABA)の決算内容
決算サマリー
EPS:22.03元(予想:20.59B元)〇 →約3.6兆円
売上高:221.08B元(予想:214.17B元) 〇
売上高は、日本円にして約3.6兆円になります。EPS,売上高共に予想を超えて来ました。成長率も+37%を維持しており、決算としては申し分ない結果でした。株価は-4%とアフター市場で下落したものの、翌日+4%を反発した形です。Antグループの疑惑についての不透明性が尾を引いている感触です。
売上推移
売上成長率(対前年同期比、対前期比)
売上原価、販管費、研究開発費の推移
粗利率推移
営業利益率推移
セグメント別売上比較
以下は決算資料からのチャートですが、赤枠の部分のEcommerceを中心としたビジネスに加えて、昨今Alibaba Cloudを成長させています。メディア事業、小売り事業、インターナショナル、物流事業など、本当に幅広いビジネスを展開し、成長を加速させようとしています。
アリババクラウドの成長率は、対前年同期比で+50%、これまで+60%弱の成長を続けてきたので、若干ですが伸びは鈍化しました。ただ全体の売上の8%を占めるまで成長していることは素晴らしいです。
https://www.alibabagroup.com/en/ir/presentations/pre210202.pdf
EPS(一株当たり利益)推移
ダニエル・チャンCEOコメント
アリババグループは好調な四半期決算を達成した。
売上高は前年同期比37%増の2,210億人民元(約3.6兆円)に達し、EBITDAは前年同期比21%増の613億人民元に達した。
当社の中国小売マーケットプレイスのAnnual active consumer(年間アクティブ消費者数)とGMV(総取引額)は引き続き健全な成長を遂げており、タオバオディールは初めてモバイルのMAU(月間アクティブユーザー)が1億人を突破した。
アリババクラウドは、初の四半期黒字を達成した。これらのビジネストレンドはいずれも非常に心強いものであり、パンデミックから急速に回復した中国経済に支えられている。
■独禁法調査について
この四半期、アリババは、AntグループのIPOに対して、独禁法の疑惑があるとして、フィンテックの規制環境の変化と中国の規制当局による調査が開始されている。2020年12月24日、中国の独占禁止法に基づき調査を開始した旨の通知を受け、調査は現在進行中であり、関連事業部のリーダーを中心とした特別対策本部を設置し、社内での調査を実施するなど、当局に対して全面的に協力している状況だ。
当社は、規制要件へのコンプライアンスについて、引き続き当局と積極的にコミュニケーションを図っていく。調査が終了した際には、さらに市場に情報を提供していく。当社は何億人もの消費者と、何百万にのぼる加盟店をつなぐ大きなビジネスを行っていて、この巨大プラットフォームを運営するうえでの社会的責任を深く認識している。規律要件を遵守するだけでなく、消費者保護、デジタル化、産業の高度化などを含めて、社会への責任を果たしていきたいと考えている。
現状の、AntグループはIPOの中止を発表した後も、規制環境の大きな変化によって、現在是正計画を策定中で、関連する規制手続きを経る必要がある。そのため、現状の事業見通しやIPO計画については、いまだに不確実性を伴うものとなっている。今後も最新情報をアップデートしていければと思っている。このような変化は、アリババにとって当面の課題ではあるが、当社の事業プロジェクトを再評価し、改善するための重要な機会であると考えている。
■中国の小売市場
大都市では無く、まだ発展していない地域でのユーザー獲得に向けた取り組みを継続していく。我々は、淘宝網(Taobao Deals)、1億人のモバイルMAUベースを構築し、ユーザーベースと製品供給の拡大にさらに投資して、新興地域市場をターゲットにしていく。
■Ele.me(食品デリバリーサービス)
地域サービスのフラッグシップである「Ele.me」は、アリペイとのパートナーシップを強化し、位置情報に基づくオンデマンドデリバリーサービスを、食料品や医薬品など、食事以外のカテゴリーにも拡大していく。食事以外のカテゴリーの配達需要はEle.me上で急速に成長しており、大きな市場の可能性を示している。
消費者や加盟店が供給の多様化を求める中、健全な競争を目指す規制の流れは、市場参加者全員に恩恵をもたらすものと考えている。当社は、この機会を利用して、ローカルサービス事業の強化に向けた投資を継続していきたいと考えている。
■アリババクラウド
初めて調整後のEBITDAがプラスになったことを非常にうれしく思っている。これは、長期的な価値創造のための長年の投資の結果だ。アリババクラウドは、中国のクラウドコンピューティング市場の巨大な可能性を反映して、12月期には前年同期比50%の売上成長を記録するなど、急速な成長を続けている。データ・インテリジェンス・アプリケーションやクラウドコンピューティングへの需要がすべての産業分野で普遍的になるため、市場はまだ初期段階にあると考えている。我々は、アリババの技術とアプリケーションにおける独自の優位性を活用しながら、成長のための投資を継続していく。
■グローバル化
インターナショナルビジネスの中核市場である東南アジアでは、Lazada(東南アジアのEcommerceプラットフォーム)のユーザー数、取引量ともに急成長を遂げている。当社は、Lazadaの技術インフラ、ビジネスモデル、業務効率の向上に数年を費やしてきた。当社は現在、市場シェアとユーザーのマインドシェアを高めることを目標に、長期的な機会へのさらなる投資を行うことで、成長が加速している東南アジア市場に資本を投下できる体制が整っている。
■最後に
中国がデジタル経済に本格的に移行する中、アリババは、過去20年間に構築してきたE-commerce、金融サービス、物流、クラウドコンピューティングなどデジタルインフラにより、この歴史的な変革の中で最高のポジションにあり続けている。
アリババは、国内消費、最先端のテクノロジー、グローバル化という3つの成長エンジンに自信を持っており、これらの原動力は中国の経済発展における政策の方向性と一致している。
主な質疑応答
アナリスト
「(独禁法調査に関して)今後は社会的責任を果たすとコミットメントがあったが、運営面や財務面ではどのような影響が出てくると考えているか?」
ダニエル・チャンCEO