TSMC 2023年Q4決算

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台湾の大手ファウンドリ、TSMCが2023年Q4の決算発表を行いました。

本記事では簡単なまとめと解説をいたします。

2023年Q4決算

TSMCによると23年Q4の売上は$19.62Bで前年同期比-1.5%、23年Q3比では+13.6%となりました。

2023年の半導体市場は厳しいものでした。TSMC自身の2023年売上も台湾ドルベースだと約2兆1617億台湾元と2022年比で−4.5%の減少、純利益は−17.5%の減益でした。TSMCの減収は14年ぶり、減益は4年ぶりとのことです。

それでも、半導体市場の底は過ぎた、というのが現在のコンセンサス的な見方となっていると思います。

下記は2023年Q2の決算発表ですが、当時YoYで−13.7%の減収、-23%の減益でした。利益率はまだまだ改善していかなければなりませんが、売上はまずは戻ってきているようです。

2024年見通し

TSMCの2024年Q1ガイダンスは売上$18-$18.8Bとなっており2023年Q1の売上$16.7Bから2桁増収となります。生成AI需要が追い風となっている一方で今期よりも若干売上が下がるのはスマートフォンの売上が季節的に減少するからとしています。

We expect our business in the first quarter to be impacted by smartphone seasonality, partially offset by continued HPC-related demand.
引用 TSMC Earnings Transcript

さらにTSMCによると2024年の半導体市場はメモリを除いて10%の成長、TSMCのようなファウンドリに限ると20%の成長でTSMC自身は20%台前半ー中盤の成長を予測しています。

Coming off the steep inventory correction and low base of 2023, for the full year of 2024, we forecast the overall semiconductor market excluding memory to increase by more than 10% year-over-year, while foundry industry growth is forecast to be approximately 20%. For TSMC, supported by our technology leadership and broader customer base, we are confident to outperform the foundry industry growth. We expect our business to grow quarter-over-quarter throughout 2024, and our full year revenue is expected to increase by low to mid-20% in U.S. dollar terms.
引用 TSMC Earnings Transcript

またTSMCの2024年の設備投資額は$28B – $32Bをガイダンスとしており、そのうち大半を後述する3ナノメートルプロセスなどの先端技術に使うとしています。なお2023年の設備投資額は約$30B、ピークだった2022年の設備投資額は$36Bでした。

In 2024, our capital budget is expected to be between USD 28 billion and USD 32 billion as we continue to invest to support customers’ growth. Out of the USD 28 billion to USD 32 billion CapEx for 2024, between 70% and 80% of the capital budget will be allocated for the advanced process technologies,

プロセスごとの売上

今回の決算で最も目立ったポイントはプロセス別の売上だと思います。特に3ナノメートルプロセスが3Qから売上に貢献し始め、今期では売上の15%の比重を占めるまで増加しました。これはAppleのiPhone15向けの需要だと考えられます。

また、Nvidiaなどが使用していると言われている5ナノメートルのプロセスも35%となっており、3ナノと5ナノの売上で50%を占めるまでになっています。

下記は通年のプロセス別の売上比重です。業績のピークだった2022年は5ナノと7ナノで約半分の売上を占めていたのが23年は7ナノの売上比重が下がった代わりに5ナノと3ナノの売上比重が拡大しました。

これによりTSMCは今後の半導体市場の回復とともにより競争力のあるテクノロジーを全面に出していくことで売上・利益率を改善させていくと期待できると思います。

またこれはTSMCだけでなく、ASMLやレーザーテックといった半導体の先端プロセスに製造装置やメンテナンスを供給している企業にとっても良いことだと思います。

引き続き半導体市場に注視してまいります。

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Anago

Anago

欧州在住の半導体企業に勤務されている方です。半導体市況&決算情報をツィッターやブログでシェアされています。

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